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【後編】高校生が「再エネを“学び、選び、体験する”エネルギー実践授業」を開催!

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バスに乗って、選んだ発電所へ


7月中旬、自由の森学園の高校生たちは、栃木県足利市にあるあしかがエコパワー発電所を訪れました。
朝早く学校を出発し、バスで片道約3時間。
窓の外には次第に広がっていく緑の山並みと夏の青空。
車内では、これから実際に自分たちが選んだ発電所を見られることへの期待と、少しの緊張が入り混じっていました。

木から電気を生み出す「木質バイオマス発電」




到着すると、あしかがエコパワー代表取締役の菊地 巌(きくち いわお)さんが発電所の仕組みを丁寧に解説。バイオマス発電は、木質チップを燃料とし、熱で蒸気をつくり、タービンを回して発電する“木から生まれる電気”の現場です。また、吸収量が減った老木を資源として活用し、新たな植林も行うことで森林のサイクルを回す役割もあります。自由の森学園には林業講座もあり、勉強になった生徒も多かったのではないでしょうか。

圧巻の現場体験




クレーンで木質チップを掴む姿はまるで巨大なUFOキャッチャー。

本発電所で燃料としている木質チップは、すべて国産の木を由来としており、
①街路樹などの木を剪定した際に出る『剪定枝(せんていし)』剪定
②建築材の規格に合わず利用されなかった間伐材をチップに加工した『未利用材』
③建築材などの加工の際に排出された端材をベースにした『一般木材』
の3種類を混ぜ合わせて使用しています。

黒っぽいものが剪定枝、白っぽいものが未利用材や一般木材です。
触ってみるとほんのり温かい。



どの木質チップも、建築材としての価値はなく廃棄されてしまうようなものですが、
それらを燃料として有効活用しているところがサステナブルポイントです。
この木質チップの次の行き先が『流動層』と呼ばれる燃料炉。



流動層では木質チップを燃やした熱で蒸気を発生させています。

木質チップの他に、火力を上げるための一工夫として、『硅砂(けいしゃ)』と呼ばれる細かい砂を投入しており、効率的な燃焼が期待できます。
小窓から燃料が燃え盛る様子を覗くと、生徒の皆さんのテンションは最高潮!

事前に見せていただいたときは著者も同じテンションだったので共感してもらえて嬉しいです。



チップを燃やした際に排出される燃焼ガスは、『バグフィルター』と呼ばれる設備を通して灰となります。
この灰も、一部は道路などの資材として利活用されています。
ただ、現在も2011年の原発事故による放射能の影響を受けている木もあり、そこから排出される灰は廃棄する他ないそうです。事故から15年近く経つ現在もその爪痕を感じます。



最後は発電設備のある施設へ。

流動層で発生させた沸かした蒸気はパイプを通じて発電棟内部のタービンに送られます。
このタービンは飛行機のジェットエンジンに近いもので、蒸気の力で高速回転し、発電機に接続され電気を生み出します。


プログラムを終えて


初めての開催となった「再エネを学び、選び、体験するエネルギー実践プログラム」
環境学の皆さんは、全編を通して真剣に学んでくださいました。

このプログラムの中で、特に心に残った出来事があります。
惜しくも総選挙で1位にならなかった発電所に投票していた生徒が、授業の後にふとこう言ってくれたのです。
「選ばれなかった発電所にも、有志で行ってみてもいいですか?」
授業の結果にとどまらず、自らの意思で“もっと知りたい”と動き出そうとする姿に、心から感激しました。エネルギーを“自分ごと”として捉え始めた生徒たちの姿は、エネルギーのの明るい未来を強く感じさせるものでした。

私たちは今後も日本の再生可能エネルギーに対する理解を促進するため、全国の学校に向けてエネルギーを学習・選択・体験する教育プログラムを実施していきたいと考えています。

今回の教育プログラム実施の機会をくださった自由の森学園さま、協力していただいた発電所の皆さま、そして、一緒に学習に取り組んでくれた環境学の生徒の皆さま、本当にありがとうございました!



 

▶前編はこちら
WRITER
沖山敬
沖山敬

2024年新卒入社 自由の森学園高等学校 出身。高校2年の頃に履修した”環境学”で株式会社UPDATERと出会い、再生可能エネルギーに興味を持ったことがきっかけでジョイン。自らの活動で学生とサステナビリティがつながり、それをきっかけにUPDATERへジョインする ”第二の自分” を生み出すことが野望。好きな漢字は”企”。